研究概要 |
(1)根小毛は、線毛を伸長した基底小体の付属構造であり、線毛発生に特異的に出現するfibros granuleから形成される。根小毛の205/215蛋白質を認識する抗体(R67,R155ほか)を作製して、根小毛の形態を免疫組織化学的に解明した。作製した抗体とヒトHeLa細胞のcDNAライブラリー及びヒト肺cDNAライブラリーを利用して、抗体の認識する蛋白質をコードしているcDNAのスクリーニングを行って、陽性クローンをDNAシークエンスした。 (2)一対の中心子は、intercentriolar linkによって結合している。孤立線毛を伸長した基底小体とそれとペアの中心子とを連絡する横紋構造を発見し、striated connectorと命名した。Striated connectorの横紋の周期は54nmで、striated rootletと比較し15nm短かった。Striated rootletとstriated connectorは、共通の蛋白分子から構成されていることを、免疫組織化学的解析により明らかにした。また基底小体に付随するbasal footにおけるγ-tubulinの局在を証明した。 (3)顎下腺における孤立線毛形成、及び中心子と根小毛の関係について、形態学的に解析した。孤立線毛は、筋上皮細胞において2.8%に観察された。根小毛は、孤立線毛の形成とは無関係に、中心子に恒常的に付随していた。特に中心子が細胞先端部に位置する、線条部の上皮細胞において、著明に発達していた。これらの結果は、rootletは中心子の付属構造として常に存在しており、中心子の位置の決定に関与していることを示唆する。 (4)幼若マウス卵巣を用いて、卵胞発育に対する男性ホルモン、及び女性ホルモンの効果を、in vitroの培養系を用いて検討した。男性ホルモン(dehydroepiandrosterone)には、卵胞発育と細胞増殖効果があった。
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