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2000 年度 実績報告書

哺乳類の顎・顔面および肢芽の形態形成機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 12670016
研究機関京都大学

研究代表者

滝川 俊也  京都大学, 医学研究科, 助手 (90263095)

研究分担者 塩田 浩平  京都大学, 医学研究科, 教授 (80109529)
キーワードマウス / 口蓋突起 / 形態形成 / トランスフォーメーション / 内側縁上皮 / アポトーシス / TGF-β3
研究概要

野生型マウス(ICR,C57BL/6J)およびTGF-β3ノックアウトマウス胎児(胎齢14.0日)の口蓋突起を用いて、我々が独自に開発した単一口蓋突起回転浮遊培養法により種々の実験を行って、組織学的、免疫組織化学的に解析した結果、口蓋突起内側縁上皮細胞の分化について以下の知見を得た。
野生型マウスの口蓋突起では18時間培養後で内側縁上皮の基底細胞が間葉細胞へのトランスフォメーションを起こし始め、一部の内側縁上皮細胞はアポトーシスを起こすものの、多くははサイトケラチン陽性のまま鼻腔または口腔上皮側へ移動する像が観察された。また、既存の基底膜が分解しつつある一方で、トランスフォメーションした細胞とサイトケラチン陽性のまま鼻腔または口腔側へ移動する内側縁上皮細胞との間に新たに基底膜を形成している像が観察された。24時間培養後では、サイトケラチン陽性の内側縁上皮はすべて消失し、基底膜もほとんど分解していた。マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤により基底膜の分解を妨げると間葉細胞へのトランスフォーメーションが妨げられたが、この状態でもI型コラーゲンに接した環境にあると間葉細胞へのトランスフォーメーションを起こすことができた。一方、再構成基底膜に接した環境にあると上皮細胞の表現型(サイトケラチン陽性)のままであることが判明した。また、tgf-b3^<-/->の口蓋突起では、内側縁上皮がトランスフォーメーションやアポトーシスを起こさなかった。
本研究により、内側縁上皮細胞の最終分化のkey moleculeはtgf-b3と考えられるが、その分化の方向は個々の細胞を取り巻く微小環境によって変化することが判明し、口蓋突起癒合に必要な内側縁上皮細胞の最終分化のメカニズムとその可塑性(遺伝子により不変的に決定されている運命ではないこと)を初めて証明することができた(投稿準備中)。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Takigawa,T.and Shiota,K.: "Study of the differentiation of the medial edge epithelium in the developing mouse fetal palate by using a suspension single shelf culture."Acta Anatomica Nipponica. 75(1). 60 (2000)

  • [文献書誌] Takigawa,T.,Kimura,S.and Shiota,K.: "Study of the vascular remodeling and programmed cell death during the separation of digits in the developing mouse limb."Acta Anatomica Nipponica. 75(1). 67 (2000)

  • [文献書誌] Takigawa,T.,Takahara,S.and Shiota,K.: "Suppression of programmed cell death does not Interfere with the fusion process of fetal mouse palates in vitro."Congenital Anomalies. 40(3). 216 (2000)

  • [文献書誌] Hinoue,A.,Miura,T.,Takigawa,T.,Nishimura,T.and Shiota,K.: "Cranial neural crest cells of the mouse embryo undergo apoptosis by disruption of cell adhesion to substratum In vitro."Congenital Anomalies. 40(3). 216 (2000)

  • [文献書誌] 滝川俊也,塩田浩平(分担執筆): "臓器別アポトーシス証明法 編集 大槻勝紀,小路武彦,渡辺慶一"南江堂. 259

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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