研究概要 |
我々は、マクロパイノサイトーシス、ファゴサイトーシスの機械的分子機構とシグナル伝達の解析を続けているが、これまでにactinin-4が、マクロパイノサイトーシス、ファゴサイトーシスに関わる構造により多く局在することをactinin/F-actin ratio画像により明らかにした。引き続き平成12年度は、1.PI3kinase阻害剤によるマクロパイノサイトーシス時の細胞内actinin-4/F-actin ratioの変化の観察 2.抗体細胞内導入によるactinin-4の機能解析を行った。 1.PI3kinase阻害剤でマクロファージを前処理、M-CSF刺激後細胞を固定、actinin-4,F-actinを蛍光抗体法およびファロイヂン染色で検出、レーザー顕微鏡画像の、画像演算でactinin-4/F-actin ratioを求めた。PI3kinase阻害剤により細胞内actinin-4の分布はやや均一化するものの、明らかな局在変化は認められず、actinin-4局在化にPI3kinaseシグナルが直接関与する可能性は低いと思われた。 2.精製actinin-4抗体、actinin-1抗体,正常IgMをscrape loading法により細胞内導入後、FITCデキストランをマクロパイノサイトーシスにより取り込ませ、取り込まれた量をスペクトルフルオロメーターで定量した。actinin-4抗体の細胞内導入はマクロパイノサイトーシスによる取り込みを有意に減少させたが、actinin-1抗体は、正常IgMと有意差が無かった。このことから、actinin-4は、マクロパイノサイトーシスの機械的分子として機能していることが示唆された。 以上の結果は、これまでの結果と合わせて、J.Cell Sci.(2000)に論文として発表した。
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