研究課題/領域番号 |
12670017
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研究機関 | 香川医科大学 |
研究代表者 |
荒木 伸一 香川医科大学, 医学部, 助教授 (10202748)
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研究分担者 |
波多江 種宣 香川医科大学, 医学部, 教授 (40037388)
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キーワード | ファゴサイトーシス / マクロパイノサイトーシス / アクチン / アクチン結合蛋白 / ミオシン / 分子機構 / シグナル伝達 / マクロファージ |
研究概要 |
Macropinocytosisとphagocytosisは、ともにアクチン依存性の液相ないし粒状外来物質取り込み運動である。前年度までに、ミオシン阻害剤(BDM)およびPI3kinase阻害剤を用いmacropinocytosisおよびphagocytosis過程での偽足(ruffle)の伸展・変形・収縮閉鎖におけるmyosinの役割とPI3kinaseシグナルとの関係を形態学的に解析してきた。しかし、BDMは、各種クラスのミオシンを非特異的に阻害するため、各ミオシンクラスの機能は同定できない。そこで本年度は、ミオシンIIを選択的に阻害するため、myosin-light chain kinase阻害剤であるML-7を培養マクロファージに添加し、オプソニン化ヒツジ赤血球のphagocytosisまたはFITC-デキストランのmacropinocytosisによる取り込みを起こさせ、走査電顕、蛍光顕微鏡、video microscopy等により観察した。 ML-7の効果は、これまでに得られたBDMによるミオシン阻害の結果とほぼ一致し、macropinocytosis過程では、細胞表層のruffle運動を抑制し、circular ruffle形成もなされなかった。Phagocytosisでは、赤血球を包囲するruffleの伸長、phagocytic cup形成が見られたが、cupの収縮、閉鎖は阻害された。リン酸化ミオシンIIを特異的に認識する抗体を用い、リン酸化ミオシンの局在を観察すると、リン酸化ミオシンは、ruffle、phagocytic cupに多く存在し、ML-7によりMLCKを阻害すると著しく減少した。これらのことからmacropinocytosisおよびphagocytosis過程のruffle運動は、ミオシンIIが異なる機序で関わっていることが考えられる。
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