研究課題
基盤研究(C)
マクロファージでみられるmacropinocytosisおよびphagocytosisは、それぞれ、細胞外液ないし粒状外来物質を取り込むための細胞運動であり、生体防御、免疫機能において重要な役割をはたしている。これらの細胞運動は、アクチン線維の重合、脱重合、再配列によってもたらされ、多くのアクチン関連蛋白質と複雑なシグナル伝達系により巧妙に制御されている。本研究は、この現象を司る機械的分子機構とシグナル伝達系の解明を目的とし、各種のアクチン結合蛋白質とミオシンサブクラスについて検索した。このなかで、最近新たに発見されたα-actininのアイソフォームactinin-4が、マクロパイノゾーム形成時のラッフルに他のアイソフォームより高濃度に局在することをF-actinとのレシオイメージングで明らかにした。また、actinin-4に対する特異抗体の細胞内導入により、macropinocytosisが有意に抑制されることから、actinin-4がマクロパイノゾーム形成時のbundlingに機能していることが示唆された。ミオシンについてはmyosin IIの役割に注目し、MLCK阻害剤であるML-7をマクロファージに添加してmyosin IIを選択的に阻害し、phagocytosisおよびmacropinocytosisへの影響を観察した。ML-7は、macropinocytosis過程では、細胞表層のラッフル運動を抑制し、円状ラッフルの形成もなされなかった。Phagocytosisでは、偽足の伸長、phagocytic cup形成が見られたが、cupの締め上げ運動は阻害された。リン酸化ミオシンの局在を観察すると、ラッフル、phagocytic cupに多く存在し、ML-7によりMLCKを阻害すると著しく減少した。これらのことからmyosin IIはmacropinocytosisおよびphagocytosisにおいて異なる過程で関わっているものと思われ、特にphagocytosisではphagocytic cupの締め上げ運動に働くことが示唆された。
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