リンパ管内皮細胞特異抗体と細胞増殖因子に関する組織化学的研究

2000 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12670021
• 研究機関: 大分医科大学
• 研究代表者: 加藤 征治 大分医科大学, 医学部, 教授 (60034956)
• 研究分担者: 紀 瑞成 大分医科大学, 医学部, 助手 (60305034)
• キーワード: 毛細リンパ管 / 5'-nucleotidase / モノクローナル抗体 / リンパ管内皮 / alkaline phosphatase / 毛細血管 / 組織化学 / 細胞増殖因子

研究概要

本研究はリンパ管内皮細胞に活性の高い5'-nucleotidase(5'-Nase)に対するモノクロナル抗体およびリンパ管(胸管)内皮細胞に対する特異抗体を作製し、これまで申請者が開発・応用してきた酵素組織化学的技法に加えて、免疫組織化学的技法も用いて、毛細リンパ管網の臓器特異性について検索することを目的として企画された。
平成12年度は以下の実験計画を実施した。
1)正常および病理組織におけるリンパ管内皮細胞の確定のための酵素組織化学法と免疫組織化学法の適用の可能性(対比)を検討した。
酵素組織化学法:5'-nucleotidase(5'-Nase)染色によりリンパ管内皮細胞をalkaline phosphatase(ALPase)染色により動脈内皮細胞およびdipeptidyl aminopeptidase IV(DAP)染色により静脈内皮細胞の三者を明確に区別できるようヒト及び実験動物(マウス・ラット・ハムスター・サル等)の種々の組織や器官の切片や伸展試料(全載標本)に試み(二重・三重染色)、良好な染別結果を得た。
免疫組織化学法:基底膜構成物質であるIV型コラゲンやラミニンに対する抗体を用いて、これらの免疫染色により、血管とリンパ管の染別・同定をした.
上記両方法を併用することにより、両試料(切片・伸展)ともにより効果的な観察法を見いだすことができ、臓器特異性について考察した.
2)実験動物(ラット)を用いて、5'-Naseに対する単一抗体(抗5'-Nase抗体)の作成を企画し、目下準備中である。
3)さらにラットの胸管内皮細胞の初代培養を試み、現在その継代培養に取組んでいる。
4)現在試行中であるリンパ管(胸管)内皮細胞の培養により、in vitro系での内皮細胞の細胞増殖と細胞増殖因子(VEGF-C)について、次年度(平成13年度)の研究の手がかりを得る。

研究成果

• [文献書誌] 三浦真弘,加藤征治: "腹膜・間膜のリンパ管系の分布とその構築-組織科学的観察-"リンパ学. 23巻1号. 23-32 (2000)
• [文献書誌] Yoshioka K,Nishimaru N Shimoda H,Yamada K: "Characteristics of monocarboxylates as energy substrates other than glucose in rat brain slices and the effect of selective glial poisoning-A^<31> P NMR study-"Neuroscience Research. 36. 215-226 (2000)
• [文献書誌] Shimoda H,Kudo T.Takahashi Y,Kato S: "Ultrastructural and histochemical characterization of special muscle cells in the monkey small intestine."Arch.Histol.Cytol.. 63. 217-228 (2000)
• [文献書誌] Ji R.C.,Kato S: "Intrinsic Interrelation of lymphatic endothelia with nerve elements in the monkey urinary bladder."Anat.Rec.. 259(1). 86-96 (2000)
• [文献書誌] 村上正裕,谷口正和,山邊素子,加藤征治: "痔疾患モデルにおける直腸肛門部の微小循環系の構築"リンパ学. 23(2). 53-62 (2000)
• [文献書誌] Bi Zhang,Masahiro Miura,Rui-Cheng Ji,Yuushi Matsumoto,Shigetaka Yanagisawa and Seiji Kato: "Structural Organization and Fine Distribution of Lymphatic Vessels in Periodontal Tissues of the Rat and Monkey : A Histochemical Study"Okajimas Folia Anatomica Japonica. 77(4). 93-108 (2000)