研究概要 |
本研究の目的はリンパ管内皮細胞に活性の高い酵素5'-nucleotidase(5'-Nase)及びリンパ管(胸管)内皮細胞自体に対する特異抗体を作製し、従来申請者らが開発・応用してきたリンパ管の鑑別と微細分布に関する酵素組織化学的研究成果と新しい抗体を用いる免疫組織化学的所見を総合検討し、毛細リンパ管網の臓器特異性や内皮細胞の増殖機序などを解析することである。 以下の実験計画を実施した。 1.サル及びラットの胸管内皮細胞を採取・培養し、in vitro系で細胞成長因子(VEGF-C)による増殖状態を観察した。それらの特性や機能を酵素・免疫染色的技法を用いて検討した(JI&KATO, Microsc.Res.Tech55:70-80,2001)。 2.市販されたヘビの5'-Naseを抗原としてBALB/cマウスに免疫注射し、細胞融合、HAT選択、ハイブリドーマ培養上清の特異抗体スクリーニンク、特異抗体陽性培養細胞のクローニンクを行い、腹水をモノクロナル抗体として回収・保存した。 3.マウスやラットなどの種々の臓器を用い、回収された腹水で免疫染色した。この免疫染色結果は5'-Nase染色像と比べ、特異性が示され、興味深く一つの研究の事績として第26回日本リンパ学会総会に抄録を提出した。 以下の実験計画を実施中である。 1.腹水の多量作製とプロテインAによるモノクロナル抗体の精製。 2.精製された抗体を各種の正常及び病的組織で応用する。 3.ラットの胸管内皮細胞を更に継代培養し、細胞のタンパク質をSDS-PAGE法で泳動したうえに精製された抗体の特異性を明確する。 4.ラットの胸管内皮細胞を抗原としてマウスに免疫注射した。抗内皮細胞抗体の作製を目下進行中である。
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