我々はマウスmSox7 cDNAを単離し、その塩基配列を決定した。mSox7遺伝子は、SRY型のHMGボックスを含む380アミノ酸からなることが判明した。ゲノム・サザン分析によって、mSox7遺伝子が単一コピー遺伝子であることが示唆された。mSox7の組織特異的な発現を、ノーザン分析を用いて調べた。発現は卵巣と心臓に特異的であり、転写産物のサイズは3.6kntあることが解った。ゲルシフト法では、リコンビナントmSox7ポリペプチドが標準的な標的ヌクレオチド配列(AACAAT)に結合することが示された。免疫組織化学的な手法で調べると、卵巣では卵細胞にmSox7特異的な反応が観察され、卵形成におけるこの遺伝子の関与が示唆された。さらに、免疫組織化学を用いて、心臓組織の全域にわたってmSox7の局在について検索を行ったところ、心尖部及び心耳領域に局在が認められた。またmSox7は、主に細胞質に局在するで領域と、核に強い局在を認める領域に分類された。Sox遺伝子は、一般に発生分化に関与する遺伝子であることから、mSox7も心筋細胞の分化等に関わっている可能性は強い。
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