神経組織の主要なプロテオグリカンであるホスファカンの細胞外機能モデルが提唱されている。しかるにパルブアルブミン含有GABA性非錐体細胞周囲に突起を出す神経膠細胞の細胞内にホスファカンが存在する。ホスファカンのグリコサミノグリカン鎖であるコンドロイチン硫酸鎖のアミノ糖には4位または6位炭素が硫酸化されたものと硫酸化されないものの3種を考えうる。プロテオグリカンをコンドロイチナーゼにより分解すると生じるコンドロイチン硫酸鎖切り株構造のアミノ糖の硫酸化の状態を識別する3種のモノクローン抗体により、細胞内にホスファカンをもつ神経膠細胞のアミノ糖の成分を検出した。これらの細胞の約75%に3種すべてのアミノ糖が、残る約24%には6位炭素硫酸化アミノ糖と非硫酸化アミノ糖が存在していた。これらの結果から次の3つの可能性-細胞内ホスファカン分子1つを構成するすべてのアミノ糖は単一で、構成アミノ糖が異なる3種の細胞内ホスファカン亜種があり、単一の細胞において2または3亜種ホスファカン混在する;細胞内ホスファカン分子個々を構成するアミノ糖の組合せが2様で、単一の細胞にいずれか一方だけが存在する;細胞内ホスファカンのアミノ糖はふつう6位炭素硫酸化アミノ糖と非硫酸化アミノ糖とであり、細胞の生理状態によって4位炭素へ硫酸基が転移するか、アミノ糖3種混在の細胞内ホスファカンの4位炭素の脱硫酸基が細胞の生理的条件により起こる-が考えられた。いずれにおいてもホスファカングリコサミノグリカン鎖のダイナミズムがこの分子の機能を反映する。
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