研究概要 |
肝臓造血発達の計量的な解析を試み,さらに造血の変動に伴う肝細胞の配列の変化を三次元細胞構築と電顕レベルで観察した.胎生11-19日のICRマウス胎子と新生子の肝臓を用いた.肝臓の1mmエポン切片で造血部と非造血部を区別し,それぞれの面積比をNIH imageを用い胎生各期で計測した.また,30-50枚のエポン連続切片で肝細胞の輪郭をトレースし,画像解析ソフトVoxel View(Vital Image,USA)で肝細胞構築を観察した.肝臓重量は胎生13日11.7mg,14日29.8mg,15日50.5mg,17日70.4mg,19日96.3mgとほぼ直線的に増加する.造血細胞は胎生10日で肝臓内に定着,主として赤芽球や巨核球が急速に増加し,造血巣の肝臓実質内面積比率は胎生13日でピークの77%に達する.以後,造血巣の面積比率は減少し,胎生15日で約50%,胎生19日で20%以下となる.胎生10-11日で造血細胞は肝細胞間に散在し,隣接する肝細胞は短い細胞質突起を連結させ幼弱な造血細胞を取り囲む.肝臓造血の発生から終了までは造血巣の形態を中心に4つのステージにわけられる.すなわちStage I:造血細胞定着・増殖期<胎生10日>,Stage II:造血巣の形成期<胎生11〜12日>,Stage III:造血巣の拡大期<胎生13-14日>,StageIV:造血の衰退期<胎生15日〜>.StageI〜IIIで肝臓は造血器官として機能し,Stage IVでは肝細胞の配列は消化器系器官としての特徴が顕著となる.造血はStageI〜IIでは赤血球生成が主体であるが,Stage III〜IVではリンパ球様細胞が造血巣内に散在するようになる.細胞表面マーカーを認識するCDモノクロナール抗体を利用して,リンパ球を初めとする各血球系の出現を肝臓造血の推移と関連して検討する計画である.
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