研究概要 |
1.L-プロリンによる昇圧作用部位のマッピング:麻酔下ラットの延髄のうち孤束核でプロリン刺激を行ない、グルタミン酸と同様の血圧と心拍数の変化がグルタミン酸とは異なる機序で生じることを明らかにした。 2.L-プロリン合成酵素に対する抗体の作製:次の通りである。 1)ペプチド抗原の作製と感作-ヒトプロリン合成酵素のアミノ酸配列から抗原性の高いペプチドフラグメントを予想後、ペプチドの合成と高分子化を行ない抗原を作製し、ウサギに感作し採血した血清を保存した。 2)抗ペプチド抗体生成の評価-まず、ラット脳のプロリン合成酵素活性に対する抗血清による阻害活性を評価した。酵素活性測定は、生成プロリンの定量(HPLC,TLC)およびNADPHの吸光度を利用した方法で検討をしたが、経済性から後者を選択した。本法で、酵素活性はNADPH依存性酵素精製用アフィニティークロマトグラフィーで濃縮後測定可能であり、ラット脳にプロリン合成酵素が存在することが本研究の一環として始めて明らかになった。抗血清に酵素活性の阻害作用は無かったので、抗原ペプチドを利用したアフィニティークロマトグラフィーで抗血清から抗体を精製して再評価したが、やはり阻害活性は得られなかった。しかし、ペプチドに対する抗体は生成しており、選択したペプチド部分がラットのプロリン合成酵素の活性部位と異なる可能性が残されているので、引き続きウェスタンブロッティングを行なう予定である。
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