研究課題/領域番号 |
12670054
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
環境生理学(含体力医学・栄養生理学)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
米澤 一也 北海道大学, 医学部・附属病院, 助手 (20301955)
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研究分担者 |
沖田 孝一 北海道大学, 医学部・附属病院, 医員
飯塚 健治 北海道大学, 医学部・附属病院, 医員
村上 猛 北海道大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (50271656)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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キーワード | 乳酸 / MCT / 赤血球 / 細胞膜 / 心不全 / 運動耐容能 |
研究概要 |
MCT(Monocarboxylate transporter)蛋白は生体での乳酸移動に関与する重要な膜蛋白である。現在MCT familyとしてMCT1から8までがcloningされている。それぞれのisoformは体内分布や、乳酸取り込みや放出など機能的に特徴があると考えられているが、ほとんど解明されていない。 最近トレーニングにより骨格筋のみならず心筋でもMCTの発現量が大きく変化することが報告された。心不全患者において血液や筋生検によりこの蛋白の発現量を検討することにより、運動時骨格筋pH低下の一因を説明できる可能性がある。 我々はヒトMCT1に対するPolyclonal抗体を作成し、まず赤血球のMCT1と運動選手の運動能力子の関係について検討した。 まず、ヒトMCT1のアミノ酸配列から、C末端の11塩基をペプチド合成し家兎に投与することでpolyclonal抗体を作製した。さらに抗体で検出した蛋白をアミノ酸分析することにより確かにMCT1であることを確認した。 1)非運動群として医学生(n=6)を、運動群として中長距離走者(n=13)を対象とし、運動群の運動能力についてはOBLA(0nset of blood lactate accumulation)時の速度(km/h)で評価した。被検者の赤血球より膜分画を精製分離し、immunoblot法を用いてMCT1を検出定量した。結果は、i)赤血球のMCT1発現量は有意に運動群で高かった(P<0.05)。ii)運動群でのOBLA時の走行速度と赤血球のMCT1量はr=-0.73の逆相関を認めた(P=0.0066)。 2)学生運動部員8人と心不全患者4人について、MCTと運動耐容能(peakVO2)との関係を調べた。結果はi)peakVO2と赤血球膜のMCT量の間には全体として、r=-0.87,P=0.0086の逆相関を認めた。ii)運動群単独のみでは相関はなく、心不全患者では、n=4のため有意ではないが、r=0.749 p=0.1355の正相関を認めた。 このことから赤血球でのMCT1の発現は、運動能力と相関する可能性が示唆された。今後、赤血球膜のMCT発現量と心不全患者の運動耐容能との関係の検討、また筋生検などのデータから骨格筋でのMCT発現を検討し、心不全患者の運動耐容能低下のメカニズムが解明できる可能性があるものと考える。
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