脱水条件下では、細菌性内毒素(LPS)によるラットの発熱が亢進するが、この発熱亢進は、LPSが誘導する内因性発熱物質(EP)の産生が増加した結果起こるものと推察される。しかし、脱水によるEP産生亢進のメカニズムは、いまだ明らかでない。本研究では、脱水時に分泌が増加するアンギオテンシンII(ANG II)が発熱増強・EP産生亢進に関与している可能性を検討した。 平成12年度は、脱水ラットの静脈内にLPSの投与を行い、発熱亢進と肝臓、脾臓のEP(発熱性サイトカイン)の発現を観察した。さらに、サイトカイン産生に及ぼすANG II変換酵素阻害薬の効果を調べた。その結果、LPS投与で発熱が亢進し、肝臓、脾臓のインターロイキン-1β(IL-1β)が顕著に増加した。この発熱亢進とIL-1βの増加は、ANG II変換酵素阻害薬により有意に抑制された。これらの知見から、脱水時に分泌が増加するANG IIが、肝臓、脾臓のIL-1β産生を刺激して、発熱が亢進するものと考えられる。 平成13年度は、脱水時の肝臓、脾臓のサイトカインmRNA発現と血中1L-6の変動に及ぼすANG II変換酵素阻害薬の効果を調べた。さらに、サイトカイン産生に及ぼすANG1型受容体拮抗薬の効果を検討した。その結果、LPS投与で、肝臓でのIL-1βのmRNAが顕著に増加した。この増加は、ANG II変換酵素阻害薬により有意に抑制された。LPS投与時のIL-1βの増加は、ANG1型受容体拮抗薬により有意に抑制された。LPS投与による血中IL-6の増加は、ANG II変換酵素阻害薬により有意に抑制された。これらの知見から、ANG IIは、LPSによる組織でのIL-1β産生を刺激し、これが血漿IL-6濃度の上昇反応につながり、発熱に貢献するものと推察される。また、このIL-1β産生には、ANG IIの1型受容体の関与が示唆される。
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