研究概要 |
わが国の高温による死亡、障害(熱中症)の発生と気象条件について検討すると共に,日常生活において曝露される環境温度の実態を調査し生活状況との関連および生体反応について検討した。 1)わが国の高温による死亡すなわち熱中症死亡を人口動態統計,新聞記事および救急搬送資料から疫学的検討する。とくに発生時の環境温度条件ならびに発生状況について検討した。 (1)人口動態統計による我が国熱中症死亡数は,昨年1997年まで調査したが,その後引き続き2000年まで実施した。 (2)北海道と本州での運動時熱中症の発生実態を検討した。北海道は本州に比して2から3℃低値で熱中症が発生しており,高温に対する適応の程度に差があると考えた。 (3)神戸市の救急活動記録による熱中症,脱水症の発生の実態から,65歳以上の高齢者に多く,高温環境での発生も多いが,前日との温度差が2℃付近で発生数が高値であった。 2)都市での日常生活時に曝露される環境温度の実態について調査した。温度および湿度と心拍数,胸部皮膚温を24時間測定した。胸部皮膚温は一定に保たれる傾向がみられたが,詳細については分析中である。 3)低温から高温への温度変化による生体反応を自転車運動負荷テストにより実験を行った。すなわち,3種の強度(各強度3分間)で自転車エルゴ運動を夏期室内(20〜25℃)と屋外(30から35℃)で実施した時の,心拍数と酸素摂取量を測定した。心拍数と酸素摂取量の相関関係から,回帰式を求めたが,夏期室内と屋外では回帰の傾きがことなり,同一負荷に対する酸素摂取量に変化は見られないが,心拍数が高温時には増加することが示された。詳細は分析中である。
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