研究概要 |
ヒト大動脈内皮細胞を用いPatch-clamp法により膜電位固定下にて,イオンチャネル電流と顕微蛍光測光による細胞内Ca^<2+>濃度の同時測定・記録を行い,Ca^<2+>排泄における細胞膜Ca^<2+>ATPase(PMCA)の機能的役割を検討した.PCMA1に対しアンチセンスoligo DNAを合成し,96時間アンチセンス処理を行い,無処置群と比較検討した.その結果,細胞内Ca^<2+>濃度([Ca^<2+>]_i)調節は主にNa^+/Ca^<2+>交換機構による細胞外への排出によるが,PMCAも[Ca^<2+>]_i調節に関与していることを明らかにした.既に我々は,ヒト大動脈内皮細胞を用い,内皮依存性血管拡張物質が細胞内Ca^<2+>貯蔵部位からの遊離と,細胞外からのCa^<2+>流入(容量性Ca^<2+>流入:CCE)を引き起こし、後者が細胞外のCl^-に依存性であることを明らかにしてきた.またCa^<2+>貯蔵部位を枯渇したり.流れ刺激のような機械刺激によっても,Cl^-依存性のCa^<2+>流入が引き起こされることを明らかにしてきた.そこで現在,1)血管作動物質や機械刺激によって活性化されるCl^-チャネルの活性化機構とキネティクスの解析,2)血管作動物質や機械刺激によってCl^-チャネルが活性化され,膜電位がCl^-の平衡電位に移行し,同時にCCEチャネルが活性化されることによってCCEが引き起こされると考えられるが,Cl^-チャネルとCCEチャネルとの問の機能連関,さらには,3)ヒト大動脈内皮細胞に存在するTRP4をHEK-293細胞に発現させて,そのCCEとしての機能の検討,等について実験研究を続けており,初期的結果の学会発表を行っている.
|