研究概要 |
ヒト大動脈内皮細胞を用いPacth-clamp法により膜電位固定下にて、イオンチャネル電流と顕微蛍光測光による細胞内Ca^<2+>濃度([Ca^<2+>]_i)の同時測定・記録を行い、細胞内Ca^<2+>濃度調節における容量性Ca^<2+>流入とCl^-チャネルの活性化機構の連関を解析した。Histamineによる[Ca^<2+>]_i増加作用はMibefradilによって用量依存的に抑制され、[Ca^<2+>]_iとCl^-チャネル電流のlC_<50>はそれぞれ2.6と4.7μMであった。膜電位固定化でも高用量のMibefradilは[Ca^<2+>]_iの増加を仰制した。この結果から、Mibefradilには直接作用はあるものの、容量性Ca^<2+>流入とCl^-チャネルの活性化機構のには密接な連関が存在することが示唆された。 一方、ラツト脳cDNAよりRT-PCR法により3種(α,β,γ)のTRPC4バリアントを単離し、アミノ酸配列を決定した。次いでrTRPC4αをHEK-293細胞に発現させると、非刺激時に[Ca^<2+>]_i増加が見られ、CarbacholやThapsigarginによるCa^<2+>流入には影響を及ぼさなかった。この事実はrTRPC4αが容量性Ca^<2+>流入として機能するためには、細胞内に存在する他の因子を必要としていることが考えられた。 以上、平成13年度の研究においては、1)容量性Ca^<2+>流入とCl^-チャネルの沽性化機構の連関を明らかにし、また、2)ラット脳cDNAより3種(α,β,γ)のTRPC4バリアントを単離しアミノ酸配列を決定し、容量性Ca^<2+>流入として機能するための要件を解析した。
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