研究概要 |
ヒト大動脈内皮細胞を用い、細胞内Ca^<2+>濃度の同時測定・記録を行い、細胞内Ca^<2+>濃度([Ca^<2+>]_i)調節機能を検討した。1)細胞膜Ca^<2+> ATPase 1に対しアンチセンスoligo DNAをもちいて比較検討した結果Ca^<2+>調節は主にNa^+/Ca^<2+>交換機構による細胞外への排出によるが、PMCAも[Ca^<2+>]_i調節に関与していることが明らかなった。2)Histamineによる[Ca^<2+>]_i増加作用はMibefradilによって用量依存的に抑制され、Mibefradilには直接作用はあるものの、容量性Ca^<2+>流入とCl^-チャネルの活性化機構には密接な連関が存在することが示唆された。他方、3)ラット脳cDNAよりRT-PCR法により3種(α,β,γ)のTRPC4バリアントを単離し、アミノ酸配列を決定した。次いで4)r-RPC4αをHEK-293細胞に発現させると、非刺激時[Ca^<2+>]_iに増加が見られ、CarbacholやThapsigarginによるCa^<2+>流入には影響を及ぼさなかった。この事実はrTRPC4αが容量性Ca^<2+>流入として機能するためには、細胞内に存在する他の因子を必要としていることが考えられた。 以上、本研究においては、1)血管内皮[Ca^<2+>]_i調節は主にNa^+/Ca^<2+>交換機構による細胞外への排出によるが、PMCAも[Ca^<2+>]_i調節に関与していることを明らかにした。2)Mibefradilを用い容量性Ca^<2+>流入とCl^-チャネルの活性化機構の連関を明らかにし、また、3)ラット脳cDNAより3種(α,β,γ)のTRPC4バリアントを単離しアミノ酸配列を決定し、4)容量性Ca^<2+>流入として機能するための要件を解析した。
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