新たなCl^-チャネル、ClCE1をクローニングした。Pull downおよびfilter overlay assayにおいて、ClCE1のC端部分はPDZ蛋白であるEBP50の2番目のPDZドメインに強く結合することが明らかとなった。また、C127細胞に共発現させたClCE1とEBP50は共沈した。Caco-2細胞はもともとClCE1とEBP50を発現している細胞株であるが、この細胞株においてもClCE1はEBP50と共沈した。ABC蛋白のひとつであるCFTRはそれ自体Cl^-チャネルとして働くばかりでなく、他のCl^-チャネルであるORCCの機能制御に関わっていることが知られており、そのC端がEBP50の1番目のPDZドメインと強く結合することが明らかとなっている。C127細胞にClCE1、EBP50、およびCFTRを種々の組み合わせで共発現させておこなった免疫細胞染色においては、ClCE1はEBP50と共発現させた時のみに細胞膜上に発現し、これら2つの蛋白の細胞内分布は一致していた。また、ClCE1とEBP50、CFTRを共発現させた場合は、ClCE1とCFTRの細胞内分布は一致していた。これらのことから、3つの蛋白が機能的な蛋白複合体を形成する可能性が考えられた。ヒト肺組織を用いた免疫組織染色においても、これら3つの蛋白はいずれも気管支上皮のapical側に発現していた。C127細胞を用いた再構成系での電気生理学的実験では、ClCE1をEBP50およびCFTRと共発現させると、上皮細胞で記録されるORCCと同じ性質の電流が記録された。以上のことから、1)ClCE1がORCCそのものであるか、あるいはORCCの活性化因子であること、2)CFTRによるORCCの機能制御において、EBP50のPDZドメインを介した蛋白複合体の形成が重要であること、が示唆された。
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