1.ClC-3(ClC-3A)の新しいスプライシングバリアント、ClC-3Bをヒト膵臓cDNAライブラリーより単離した。2.RT-PCRにより、ClC-3BのmRNAは上皮組織をはじめとして広く種々の組織に発現していることが判った。また、ClC-3Bに対する特異的な抗体を用いた免疫組織染色により、ClC-3B蛋白は気管や気管支の繊毛上皮や膀胱の移行上皮など、上皮細胞に多く発現していることが明らかとなった。3.Pull-downアッセイにおいて、ClC-3BのC末端領域はEBP50の2番目のPDZドメインと特異的に結合した。また、免疫沈降実験においても、ClC-3BとEBP50は共沈した。4.ClC-3Bを単独でC127細胞に発現させた場合には、ClC-3Bは細胞内領域に分布し、細胞膜表面にはほとんど発現しなかった。ClC-3BをEBP50とともに共発現させると、ClC-3Bがruffling membraneの辺縁でのみ膜表面に発現するのが認められた。5.パッチクランプ法を用いた電気生理学的実験では、ClC-3BとEBP50をC127細胞に共発現させると、ruffling membraneの辺縁においてのみ、上皮で報告されている外向き整流性Cl-チャネル(ORCC)と一致した特徴をもつCl-チャネル活性が記録された。さらにこのCl-チャネルは、ORCCと同様にCFTR依存的にプロテインキナーゼAによる活性化を受けた。また、この活性化はEBP50が存在しないと認められなかった。 以上の実験結果から、今回新たにクローニングしたClC-3BがORCCのチャネル蛋白である可能性が高いこと、PDZドメインを介したEBP50との結合がClC-3Bの機能の発現や制御に重要な役割を果たしていることが示唆された。
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