研究課題/領域番号 |
12670086
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小山 豊 大阪大学, 薬学研究科, 助教授 (00215435)
|
研究分担者 |
馬場 明道 大阪大学, 薬学研究科, 教授 (70107100)
|
キーワード | エンドセリン / アストロサイト / 脳傷害 / 脳機能改善薬 / focal adhesion kinase / 神経栄養因子 |
研究概要 |
エンドセリンによる神経栄養因子産生:前年度に引き続き培養アストロサイトからのエンドセリンによるGDNFおよびBDNFの産生促進機構を検討した。エンドセリン刺激はこれら神経栄養因子のmRNAおよびペプチド量を増加させた。エンドセリンによるGDNF産生は、細胞内Ca除去やERKの阻害で抑制されたが、グルココルチコイドやpyrrolidine dithiocarbamateでは阻害されず転写因子NFkBを介さない新たな機構であることが示唆された。また、BDNF産生については神経細胞で報告されているCa依存的な機構ではないことが示された。ラット脳室内へのエンドセリン受容体刺激薬Ala-ET-1の投与は、投与7日で海馬と大脳皮質のGDNFmRNA量と線条体でのBDNFmRNA量を増加させた。免疫組織染色は、これらの産生がGFAP陽性細胞即ち活性化アストロサイトにより生じていることを示した。以上の結果は、アストロサイトのエンドセリン受容体刺激が、神経栄養因子産生を促す薬物の標的になり得る可能性を示す。 エンドセリンによるアストロサイト増殖の機構:ETの増殖作用をfocal adhesion kinase(FAK)との関連で研究し以下の結果を得た。細胞周期調節タンパクcyclinDのアストロサイトにおける発現機構について検討し、野生型FAKを導入されたアストロサイトは、cyclin D3の発現を起こすが、cyclin D1発現は起こさないことが示された。またdominant-negative型FAKは、エンドセリンによるcyclin D3発現を阻害した。これらの結果は、ETによるアストロサイトの増殖がFAKを介したcyclin D3発現により調節されていることを示唆する。
|