吸入麻酔薬のRYRに対する作用に、リアノジン受容体(RYR)とFK506結合タンパク質(FKBP)のサブタイプ特異的相互作用がどのような影響を及ぼすかを検討するため以下の解析を行った。 1.native及びFKBP-free骨格筋SR分画に対する[^3H]リアノジン結合実験を吸入麻酔薬の非存在下及び存在下で行った。各Ca^<2+>濃度におけるそれぞれのSR分画に対する[^3H]リアノジン結合の結合量は、ハロタン存在下でやや増加した(20%以下)。ただしFKBP-freeSR分画の場合のみ、Ca^<2+>濃度が100nMでのリアノジン結合量がハロタン存在下では非存在下に比べて約70%増加した。 2.native及びFKBP-freeSR分画に対するCa^<2+>汲み込み/放出実験をハロタンの非存在下及び存在下で行った。1回目のCa^<2+>汲み込み終了後、ハロタンを添加するとCa^<2+>放出が観察されるが、FKBP-freeSR分画の場合、その後のCa^<2+>汲み込みが十分に行われず、Ca^<2+>濃度が静止時のレベルまで戻らなかった。1.及び2.の結果からFKBP12を除去したRYR1は、静止時のCa^<2+>濃度で、ハロタン感受性が増すことが示唆された。 3.ラット、マウス、ウサギの心筋SR分画をFKBP12とincubateした。Westm blotにて解析したところ、加えたFKBP12はSR分画に結合していた。このSRを可溶化してRYR2あるいはFKBP12を精製した。その結果、RYR2精製物中にFKBP12は含まれておらず、またFKBP12精製物中にRYR2は含まれていなかった。 3.の結果から、イヌ以外の動物種においてFKBP12はFKBP12.6同様心筋SRに結合するものの、FKBP12.6とは異なり、CSR中に含まれるRYR2に対して結合しないか、あるいはoff rateの早い不安定な結合しかしないものと考えられた。
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