研究概要 |
中枢神経系におけるCCK-A, B受容体の機能分担については、従来の薬理学的検討では、脳のCCK-B受容体は不安を仲介するとされ、B受容体欠損は、不安レベルを低下させることを予測していたが、結果は、逆であり、B受容体欠損マウスで不安レベルが亢進していた。1日当たりの摂食量およびエネルギー代謝量は、CCK-BR(-/-)マウスが、CCK-AR(-/-)および野生型よりも有意に高値であった。が、体重は、各遺伝子型間で差がみられなかった。過去の報告では、CCK-ARは満腹効果を仲介し、CCK-4の投与によるCCK-BRの活性化は、不安症状を起こすことから、当初、CCK-AR(-/-)マウスでは摂食低下がみられると予測していたが、結果は、CCK-ARが欠損した状態でも摂食量は野生型とかわらなかった。一方、BRの欠損では、摂食量も代謝量も増加しており、つまりエネルギーの代謝回転が亢進しているという結果をえた。CCK-BR(-/-)が胃排出速度を亢進させており、この現象は、摂食量の増加、エネルギー代謝回転の亢進と関係することが予測される。CCK-A受容体欠損ラットでは、methamphetamine反復投与後のドーパミン分泌が有意に低下しており、A受容体が麻薬逆耐性とドーパミン分泌を制御していることがあきらかになった。
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