研究課題/領域番号 |
12670103
|
研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
亀下 勇 香川大学, 農学部, 教授 (60127941)
|
研究分担者 |
石田 敦彦 旭川医科大学, 医学部, 助手 (90212886)
|
キーワード | プロテインホスファターゼ / カルモデュリンキナーゼ / 活性制御機構 / ホスホペプチド / 基質特異性 / ポリカチオン |
研究概要 |
CaMキナーゼホスファターゼ(CaMKP)は多機能性CaMキナーゼを脱リン酸化して制御すると考えられる新規プロテインホスファターゼである。本年度は、CaMKPに関して、以下のような研究成果が得られた。 (1)CaMKPの基質特異性-本酵素は多機能性CaMキナーゼに高い特異性を示すが、その基質特異性がどのようにして決定されているのかについては全く不明である。この問題に関する手がかりを得るため、化学合成した種々のリン酸化ペプチドを用いてCaMKPの基質特異性に関する詳細な解析を行なった。CaMキナーゼIIの自己リン酸化部位Thr286周辺のリン酸化ペプチドをモデルとして検討した結果、脱リン酸化に必須なモチーフ配列は特に見いだされなかったが、脱リン酸化部位のすぐC末側のPro残基など、脱リン酸化を強く阻害する"negative determinant"がいくつか同定された。またリン酸化部位のP-ThrをP-Tyrに変えたペプチドでは全く基質にならず、P-Serに変えた場合でも基質活性が大きく低下した。更にリン酸化部位を含む2〜3残基で基質認識には十分であるがリン酸化部位のN末側を全て欠失させると全く基質とならないことも判明した。以上の結果から本酵素の基質特異性は脱リン酸化部位周辺の一次構造よりはむしろ基質蛋白の高次構造によって規定されるということが示唆された。 (2)ポリカチオンの役割-CaMKPによる脱リン酸化反応はポリカチオンにより著しく活性化されることが知られているが、そのメカニズムは明らかにされていない。そこで様々なポリカチオンを用いて、本酵素の活性化機構について検討してみた。ポリリシンの長さについては20マー以上の長さがないと活性化が見られないこと、また100kDa程度までは長いポリマーほど活性化率が高いことがわかった。また、プロタミンやヒストンなどの塩基性タンパク質でも活性化が見られることも明らかになった。また、活性化には基質とCaMKPとが同一のポリマー上に結合していることが必須であり、ポリカチオンが反応の橋渡しの役割をしていることを示唆する結果が得られた。
|