下記の課題を検討した。 1)出芽酵母ホモログYIH1の解析 2)マウス個体レベルでの解析 3)Impact遺伝子メチル化インプリントの解析 4)Impact/IMPACT遺伝子近傍の解析 結果は下記の通り。 1)YIH1はそのN末端側にGIドメインと呼ばれる新規相互作用ドメインを持ち、同じくこのドメインを持つeIF2キナーゼGCN2と競合的にGCN1と相互作用する。GCN1はGCN2の活性化に必須であり、YIH1はこれを競合的に阻害することでストレス応答性の翻訳抑制機構であるGCN経路を負に制御する可能性が示された。更にGCN経路の負の制御系としてTOR経路の関与を明らかにした。TORは自食作用を負に制御するが、最近GCN2も自食作用を制御すること、YIH1が核の自食作用に関わることが報告され、GCN-TOR-YIHと自食作用の関係が強く示唆された。 2)Impactのターゲテイングベクターを酵母の組み換えを用いる方法で構築した。これを用いて遺伝子ターゲテイングに着手した。 3)Impact遺伝子第一イントロン内のDifferentall Methylated Region(DMR)を用いて酵母1ハイブリッド法でここに結合する因子のクローニングを進めている。また酵母内でDMRを人工的にメチル化する実験系を開発し、メチル化されたDMRを認識する核内因子の検索も進めている。 4)マウスImpact遺伝子およびヒトIMPACT遺伝子の下流に存在するHrh4/HRH4遺伝子の発現様式を検討し、これが両アレル性に発現することを明らかにした。Impact遺伝子は孤立型のインプリント遺伝子と考えられる。
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