研究概要 |
ASCは2つの領域から構成されている。C末側にアポトーシス実行分子どうしの結合に関わるCARD(caspase-recruitment domain)領域、N末側には家族性地中海熱(炎症発熱を特徴とする)の原因遺伝子産物pyrinのN末部分と相同性を示す領域(PYD;pyrin-homology domain)が存在する。私達は、PYDに同種結合活性があり、PYD-PYDの結合によって多量体形成がおこることを実験的に証明した(BBRC,Jan.2001)。アポトーシス実行分子に存在する同種分子どうしの結合に関わる領域として、CARD、DD(death domain)、DED(death effecter domain)が知られていたが、PYDは新しい結合領域であることを示している。最近、遺伝子データベース解析の専門家であるStaub E(Germany)とGodzik A(USA)の2つのグループは、PYD(彼等はDAPINまたはPAADと呼んでいる)を持つ分子に、ASC、pyrinを含めてヒトで6種類存在することを明らかにした(Trends in Biochemical Sciences,Feb.2001,vol.26,pp83-85、pp85-87)。また、StaubはウイルスがコードするPYD蛋白質の存在も明らかにしている。最近、劇症肝炎や虫垂炎などの炎症部でASCの発現上昇がおこることがわかった(投稿準備中)。以上の結果は、ASCがPYDファミリー分子とCARDファミリー分子をつなぐアダプター分子であること、炎症とそれに関連する細胞死と深く関わっていることを示唆している。
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