研究概要 |
1)ユビキチンに36%相同性をもつユビキチン様タンパク質(Ubi-Lと呼称)の特異性あるアミノ酸配列(13個のアミノ酸からなるオリゴペプチド)を合成し、ユビキチンを認識しない特異性ある抗体を作成した。この抗体を用いて、マウス各組織での本タンパク質の発現を検索した。脾臓で最も強く発現していたが、肺臓や脳等にも発現しており、名称が示す通りあらゆる組織細胞で発現していると考えらた。 2)上記のごとく、細胞内で抗体とクロスするタンパク質は、分子量約15,000と25,000のメインバンドとして検出された。Ubi-Lの分子量が約7,800であることから、別のタンパク質と結合している可能性が示唆された。 3)約400bpのDNAプローブを作成し、種々組織細胞内Ubi-L mRNAの発現量を検索した。いずれの組織細胞でも3つのバンドが検出されメインバンドは約2,000bpであったが、特に神経組織(脳)では約4,000bpがメインバンドとして検出された。 4)上記の結果から、我々はこれまでUbi-Lを免疫抑制性タンパク質として研究を進めてきたが、生体内のほとんどの細胞でUbi-Lタンパク質が発現していることから、本タンパク質の生理的役割は免疫系のみならずプロテアソームが関係するタンパク質代謝にも関係する可能性が示唆された。
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