研究課題/領域番号 |
12670118
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
八田 愼一 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (60094223)
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研究分担者 |
堀尾 嘉幸 札幌医科大学, 医学部, 教授 (30181530)
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キーワード | 細胞骨格微小管系 / G蛋白質共役型受容体キナーゼ / リン酸化反応 / NG108-15細胞 / チュブリン / G蛋白質 |
研究概要 |
近年、細胞骨格微小管系は様々なリン酸化系との相互作用を通じて細胞情報伝達系の調節に関与していることが示唆されている。本研究は微小管成分蛋白質チュブリン(Tu)とG蛋白質共役型受容体キナーゼ(GRK)2との相互作用に焦点をあててTuの細胞情報系調節における役割について検討を加えた。研究にはラット精製Tuならびに、GRK2が比較的豊富に発現しているNG108-15細胞を用いた。精製TuのWestern blot解析の結果、TuとGRK2との会合が示された。NG108-15細胞膜分画ではGRK2とTu(β-tubulin、β-tubulin I/II、β-tubulin III)の存在が確認されたが、GRK5は検知されなかった。NG108-15細胞はM4ムスカリン性受容体を発現していることが知られている。NG108-15細胞のカルバコール(1 mM)刺激でβ-Tu IIIとGRK2の細胞膜への移行が生じ、膜分画でのβ-Tu IIIとGRK2蛋白量は、カルバコール刺激後約10分を最大として増加した。サポニン透過性亢進NG108-15細胞による実験から、β-Tu IIIとGRK2のカルバコール刺激による細胞膜への移行は、GRK2リン酸化活性阻害剤であるヘパリンの処置で抑制された。TuはGRK2のリン酸化基質となり、リン酸化されたTu(β-Tu III)の細胞膜への会合上昇(膜移行)が報告されている。Tuはそれ自体GTP-結合蛋白質であり、G蛋白質(Gi・Gp)との会合を介したG蛋白質へのGTP供給による機能調節が示唆されている。精製TuからNG108-15細胞膜G蛋白質へのGTP転移反応は本研究でも確認された。本研究の結果から、GRK2によるリン酸化によってTuは細胞膜へ移行しG蛋白質との相互作用を通じてG蛋白質による情報伝達を調節していることが示唆され、Tuは細胞内の種々のキナーゼによる反応と受容体機能調節との連関に関与していることが考えられた。
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