E-NPP(ecto-nucleotide pyrophosphatase/phosphodiesterase I)は細胞外の核酸の代謝に関与するII型の膜酵素である。私どもはE-NPPには3つのファミリー分子がある事を明らかにし、E-NPP2は腫瘍細胞走化性促進因子活性がある事、小児期の代表的な悪性腫瘍である神経芽細胞腫において進行期にその発現が亢進している事を示してきた。今年度はE-NPP3に対するモノクローナル抗体を作製した。さらに、この抗体を用いて大腸がん、肝がん、胆管がんの組織染色を行い、腫瘍組織においては周囲組織に比べて明らかにその発現が亢進している事を明らかにした。さらに線維芽細胞にE-NPP3遺伝子を導入すると、その遊走能が著明に亢進することをも明らかにした。これらの事から、E-NPP3はがんの浸潤に関与していると考えられる。さらに大腸がん、肝がん、胆管がんの患者血清中にはE-NPP3が上昇していることも示した。これらの成果はこの分子が新しいがんの早期発見のマーカーとして有用である可能性を示唆している。
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