カラゲニン炎症による局所サイトカイン産生 昨年度までに、カラゲニンによる局所炎症は脳血管内皮細胞でプロスタグランジンE2合成系を活性化させ、全身の発熱を引き起こすことを示した。本年は、炎症部位から脳血管内皮細胞への情報伝達に、炎症性サイトカインが関与しているという仮説を検討した。ラット右後肢足底部にカラゲニンを皮下注射した後、1.5、3、6、12、24時間後にネンブタール麻酔し、左右の鼠蹊部から静脈血を採取し、その血漿と血球を分離し凍結した。その後、左右の後肢足底を切断し凍結した。免疫組織化学により、カラゲニン注射側と非処置側の足底でインターロイキン-1beta(IL-1b)の発現を検討した。カラゲニン注射3時間後から注射側の足底部にIL-1b陽性細胞が出現し、その数は6時間から12時間で最大値を示し、24時間後には減少した。すべての時間を通して、IL-1b陽性細胞の多くはED-1抗体で認識されるマクロファージ系の細胞であった。また、注射後6時間以降では、IL-1b陽性細胞の一部は顆粒球であった。一方、炎症部位から心臓に還流する血球成分についてIL-1bの免疫染色を行ったが、陽性細胞は認められなかった。以上の結果から、炎症部位から心臓に還流する静脈血には、非炎症側のそれと比べて高濃度のIL-1bが含まれていることが予想されたので、これをELISAで検討した。しかしながら、現時点では血漿中のIL-1bに左右差が認められていない。現在、ELISAの測定感度を改善する努力を行っている。
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