大腸癌特異的発現遺伝子Bradeionの機能解明と臨床応用技術開発

2001 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 12670147
• 研究機関: 東海大学
• 研究代表者: 田中 朝雄 東海大学, 医学部, 助手 (50192175)
• 研究分担者: 田中 真奈実 独立行政法人産業技術総合研究所, 産学官連携部門つくば産学官連携センター・ブラディオン連携研究体(前通商産業省工業技術院・生命工学工業技術研究所), 研究体長 ; 鬼島 宏 東海大学, 医学部, 講師 (90204859)
• キーワード: Bradeion / 大腸癌 / セプチンファミリー / 簡易診断法 / テストストリップ / キメラマウス

研究概要

本研究グループは、Bradeionが大腸癌に特異的に発現され、細胞分裂及び増殖制御に関わるセプチンファミリー遺伝子であると発見した(論文2)。
昨年度はBradeionを用いた遺伝子診断法と遺伝子治療法の研究を行った。今年度は以下の通りである。
1 簡易大腸癌診断法の開発
Bradeionに対する融合タンパク質を大量発現させ、抽出・精製し、マウスに免疫し、Bradeionモノクローナル抗体を作成した。作成された多くのモノクローナル抗体のうち、ELISAにより抗体の力価を検定し、免疫組織化学により大腸癌細胞に対する特異性、細胞内局在、組織免疫学的大腸癌診断への応用のための抗体希釈等の条件、そしてWestern blotによるBradeionタンパク質への特異性を検定した。その結果、6種のモノクローナル抗体が各種診断への有用性が示された(特許出願中)。
テストストリップへの実用化への第一段階として、このモノクローナル抗体を用い、培養大腸癌細胞抽出液を用い、抗体の選別、至適濃度の決定、検出能力の検定、検出感度の向上後、大腸癌患者の検体を用いた第二段階へと進む予定である。
2.Bradeionの生理的機能解析--ノックアウトマウスの作成と解析--
マウスブラディオンターゲッティングベクターを作成し、内在性Bradeion遺伝子の発現抑制マウス胚性幹細胞を作製し、胚に導入し,キメラマウスを作製した(特許出願中)。その結果、2種のクローンより雄7匹と雌2匹を得た。胚性幹細胞の組織への寄与率は、90〜98%であった。そこで、C57BL/6J・Jcl雌との交配によりF1マウスを作製し、生まれたマウスの尾からのゲノムDNAからPCRを行った結果、全マウスが正常Bradeion遺伝子alleleとBradeion遺伝子欠失alleleを有することを確認した。現在さらなる研究中である。

研究成果

• [文献書誌] Manami Tanaka, Hiroshi Kijima, Johbu Itoh, Taroh Matsuda, Tomoo Tanaka: "Impaired expression of a human septin family gene Bradeion inhibits the growth and tumorigenesis of colorectal cancer in vitro and in vivo."Cancer Gene Therapy. in press. (2002)
• [文献書誌] Manami Tanaka, Tomoo Tanaka, Hiroshi Kijima, Johbu Itoh, Taroh Matsuda, Sadaaki Hori, Miyuki Yamamoto: "Characterization of Tissue- and Cell-Type-Specific Expression of a Novel Human Septin Family Gene Bradeion"Biochemical and Biophysical Research Communications. 286・3. 547-553 (2001)
• [文献書誌] Rosa M.F.Cardoso, Carlos H.T.P.da Silva, Ana P.U.de Araujo, Tomoo Tanaka, Manami Tanaka, Richard C Garratt: "Expression and preliminary X-ray diffraction studies of cytosolic Cu, Zn superoxide dismutase from Schistoma mansoni"Acta Crystallographica Section D Biological Crystallography. D57. 1877-1880 (2001)