研究概要 |
1.軟部悪性腫瘍のなかでも非常の予後の悪い軟部悪性ラブドイド腫瘍では75%と高率にp53遺伝子の異常を認めp53蛋白の発現とも相関関係を認めた(Kinoshita et al.J Cancer Res Clin Oncol in press)。2.脱分化型脂肪肉腫では分化した成分と脱分化の成分を比較すると脱分化を起こした成分に高率にp53遺伝子の異常とH-ras遺伝子の異常を認めた(Sakamoto et al.Am J Clin Pathol in press)。また脱分化型軟骨肉腫においても、通常軟骨肉腫に比較するとp53,H-ras遺伝子異常の頻度が有意に高かった。3.短期的な生命予後は比較的良好であるが長期的には予後不良である滑膜肉腫においてはp53遺伝子異常は18%にH-ras遺伝子異常は6.4%に認められたものの、予後との相関関係は認められなかった。MDM2遺伝子増幅は40%に認めたがやはり予後との相関関係はなく、p53遺伝子異常との相関も認めなかった(Oda et al.Mod Pathol 2000)。4.悪性神経鞘腫45例のH-ras遺伝子異常をPCR-RFLP法で検索したところ2例にコドン13のpoint mutationを認めた。2例とも短期間で腫瘍死しておりvon Recklingheusen病を合併していた(Watanabe et al.Int J Mol Medicine2000)。同一の45例の解析でp53蛋白の発現と予後に相関関係は認められなかったが、増殖能の指標であるMIB-1 labelling indexの高い例および横紋筋の成分の出現するいわゆるmalignant Triton tumorでは有意に予後不良であった。
|