研究概要 |
1.軟部悪性線維性組織球腫と鑑別を要する軟部多形型平滑筋肉腫を再検討し、通常型平滑筋肉腫と臨床病理学的に比較したところ予後は多形型が通常型に比べて不良であった。両者の間でp53およびMDM2の発現を蛋白レベルで免疫染色により比較したが、有意な差違は認めなかった(Oda et al. Am J Surg Pathol 2001)。 2.皮膚異型線維性黄色腫8例と浅在性の悪性線維性組織球腫8例のH-,N-,K-ras遺伝子の異常を調べたところ悪性線維性組織球腫1例にH-rasの異常を、他の悪性線維性組織球腫1例にK-rasの異常を認めたのみで、皮膚異型線維性黄色腫にはras遺伝子異常を認めなかった(Sakamoto et al. Hum Pathol 2001)。 3.滑膜肉腫56例でYB-1蛋白の核内発現と多剤耐性遺伝子産物であるp糖蛋白、MRP1,2の発現およびtopoisomerase II alphaの発現を比較した。また22例でABI-7700により定量的RT-PCRにより、MDR1,MRP1-3のmRNAの発現量を測定した。YB-1蛋白の核内発現はp糖蛋白およびtopoisomerase II alphaの発現と相関があり、またMDR1mRNAとも相関を示した。多変量解析の結果YB-1の核内発現は独立した予後不良因子であった(Oda et al.投稿中)。 4.良性から悪性まで幅広いスペクトラムを有する炎症性筋線維芽細胞性腫瘍のp53,MDM2遺伝子異常を調べたところ、これらの遺伝子異常は組織学的および生物学的悪性度とは相関しなかった(Yamamoto et al.投稿中)。
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