前立腺癌の、遺伝子変異については欧米を中心として活発に研究されているが、いまだ特異的に関与する遺伝子変異は発見されていない。 本研究においては、Fluorescence differential display法を用いて特異的発現パターンを示す遺伝子検索を行ない、検出した変異遺伝子群はホモロジー検索後、有用と示唆されるものについてはその特異的モノクローナル抗体を作製することである。 現在まで収集した症例の中で、腫瘍組織と非腫瘍組織が明確に分別できる3症例を選択した上でdifferential displayに供した。 まず、各組織からAGPC法によりtotal RNAを抽出した。TakaraのEnzyme set-FDDを用いて一本鎖cDNAを合成した後、FDD kit Rhodamine versionを用いて検索を行い、電気泳動後フルオロイメージャー(Takara)を用いて正常部位と癌部位で明らかに発現増幅が異なる遺伝子のバンドを12種検出した。これらの変異バンドはゲルからDNAを熱抽出後、2nd PCRを行い精製した後、TAクローニング(Invitrogen)によりベクターに組み込み、大腸菌を形質転換させ解析していくが、現在までに検出した12種の検体のうち4検体のクローニングがほぼ終了したところである。今後、塩基配列決定は蛍光dyeターミネーション法(PE biosystems)により行い、データーベースを用いてホモロジー検索することで新規の、あるいは有用と思われる遺伝子群を検出する。
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