研究概要 |
初年度特発性間質性肺炎(UIPと省略)の蜂窩肺部の各化生上皮(気管支上皮、2型肺胞上皮、扁平上皮化生)をLaser capture microdissection system下で選択的に採取し、p16遺伝子のメチル化の検討をしたが全く認められなかった。このため蜂窩肺および間質性肺炎部のDNAを抽出し、p16遺伝子に加えて、MGMT, DAP-kinase、RASSF1A、GSTP1、APCの各遺伝子のメチル化について一般肺癌群および正常肺部と比較検討を行なった。 p16、MGMT、DAP-kinase、RASSF1A、GSTP1、APCのメチル化の頻度は、(1)肺癌非合併UIP群21例:0/21(0%)、4/21(19%)、3/21(14%)、4/21(19%)、0/21(0%)、6/21(29%);(2)肺癌合併UIP群23例:0/23(0%)、4/23(17%)、4/23(17%)、5/23(22%)、0/23(0%)、7/23(30%);(3)肺癌合併UIP群の肺癌部:16/23(70%)、8/23(35%)、11/23(48%)、16/23(70%)、3/23(13%)、11/23(48%);(4)一般肺癌40例:12/40(30%)、8/40(20%)、16/40(40%)、11/40(28%)、7/40(18%)、18/40(45%);(5)一般肺癌正常肺部40例:0/40(0%)、0/40(0%)、5/40(13%)、0/40(0%)、0/40(0%)、0/40(40%)であった。UIPの肺癌非合併群と肺癌合併群には検討した遺伝子におけるメチル化に有意な差は認められなかった。しかし、UIP群では正常肺部と比較してMGMT、RASSF1A、APC遺伝子のメチル化が高率に生じていることが判明した。 K-ras、p53遺伝子の異常について追加検討する予定である。
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