研究概要 |
1、目的:エストロゲン反応性を消失した子宮体癌由来細胞株にエストロゲン受容体(ER)遺伝子を導入して、ERを強制発現させることにより、エストロゲン感受性を有する細胞株を作製し、エストロゲンの作用機序を解明することを目的とする。 2、方法:材料として、ERの発現が低下し、エストロゲン感受性を消失した子宮体癌由来細胞株lshikawa細胞に、human estrogen receptor cDNA, wild type : HEGOを組み込んだエストロゲン受容体発現ベクターであるpSG5-HEGOを遺伝子導入して得られたエストロゲン受容体高発現株を用いて、エストロゲン作用効果を次の点を中心に解析した。1)増殖効果:エストロゲンの濃度依存性および時間依存性増殖促進効果を増殖曲線を用いて解析した。2)エストロゲンによる細胞周期関連因子の制御:Ki-67,CyclinA, D1,E, cdk2,4,CAK, P21,P27などの因子を対象に、免疫染色およびWestemblot法で解析した。 3、結果:エストロゲンの増殖効果は10nMの濃度で最大であり、2日目より差が出現し6日目には20%の増殖亢進を認めた。1uM以上の濃度では細胞傷害を認めた。エストロゲンによるが細胞周期関連因子の制御については、Ki-67,CyclinA, D1,E,などの増殖と関連する細胞周期制御因子はいずれも発現増強を認めた。 4、結論:本研究で作成したエストロゲン受容体を高発現し、エストロゲン感受性を安定して有する子宮体癌細胞株は、今後分子レベルでのエストロゲンの作用機序の解明に有用である。
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