研究課題/領域番号 |
12670187
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
人体病理学
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研究機関 | (財)冲中記念成人病研究所 |
研究代表者 |
松下 央 (財)冲中記念成人病研究所, 研究員 (10201774)
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研究分担者 |
原 重雄 (財)冲中記念成人病研究所, 研究員
原 茂子 (財)冲中記念成人病研究所, 主任研究員
長濱 清隆 (財)冲中研究所, 研究員
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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キーワード | AGE / RAGE / 副甲状腺 / 肺 / 腫瘍 / 過形成 / 透析 |
研究概要 |
Advanced Glycation End Products(AGEs)はアミノ酸の非酵素的糖類還元反応であるMailard反応の後期生成物である。慢性腎不全長期透析症例ではAGEs産生が高まっていることはよく知られている。したがって、長期透析でAGEs産生が高まっているという状況ではCa代謝に関わる副甲状腺、骨の機能にAGEsあるいはAGEsの受容体であるRAGEが何らかの影響を与えている可能性が否定できない。そこで、透析症例を中心に骨粗鬆症の発症にAGEs、RAGEが係っているかいなかの検討を行った。 今回の研究は次の2段階の検討で行った。その第一はAGE6、RAGEの発現、分布を組織レベルで確認できるかいなかの検討で、これにはRAGEの発現が確認されているヒト肺組織を用いた。第二はカルシウム代謝に関わる副甲状腺、骨でのAGEs、RAGEの発現、分布の検討である。 AGEsの発現は正常副甲状腺、過形成、腺腫を問わずあまねく発現していた。一方、RAGEはすべて陰性であった。副甲状腺におけるAGEsの発現は細胞の種類によって異なっており、好酸性細胞でとくに強い発現が見られた。これまでの研究ので主細胞は専ら副甲状腺ホルモンを産生する細胞であることがわかっている。好酸性細胞についても副甲状腺ホルモン産生能があること、好酸性細胞はPTHrPの発現が強く、細胞増殖能が低いことなどが知られている。さらに、好酸性細胞は加齢に伴って増加することもよく知られている。今回の我々の検討から好酸性細胞ではとくにAGEs発現が強く見られたが、これは好酸性細胞は主細胞に較べてより老化に傾いた細胞であることを示している可能性が考えられた。今回は免疫組織学的手法を用いて検討したが、脱灰操作をした標本を用いた骨組織では評価可能な免疫染色は困難であった。これは今後の課題として残る問題である。 なお、今回の検討のコントロールスタディとして行ったヒト肺腫瘍の検討で、RAGEは正常I型上皮で発現していること、異型過形成では腫瘍細胞の一部に発現していること、超高分化腺癌ではごく少数の腫瘍細胞に発現していること、そして高分化腺癌では陰性であることがわかった。RAGEは肺上皮の腫瘍化のマーカーとして極めて重要であることがわかった。
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