研究概要 |
マスト細胞プロテアーゼ遺伝子の発現機構について調べた結果、転写因子MITFをコードしているmi遺伝子座に2個の突然変異をもつmi/miマウスのマスト細胞では、mouse mast cell protease:MMCP-4,5,6に加えて、MMCP-2,9の発現も低下していることをみつけた。mi/miマウスの培養マスト細胞にレトロウィルスの系を用いて、野生型のMITFもしくはミュータント型のMITFを導入して、MMCP-2,MMCP-9遺伝子の発現を調べた結果、正常+/+マウスの培養マスト細胞と同程度にこれらの遺伝子の発現が回復した。このことはMITFがMMCP-2,9の発現に関与していることを示している。さらに、MMCP-2,MMCP-9遺伝子の5'上流域をクローニングして、各遺伝子の5'上領域に各々の遺伝子の転写を活性化するプロモーター領域があるかどうかをluciferase assayを用いて調べた。その結果、MMCP-2,MMCP-9遺伝子の5'上流域のCANNTG配列がこれらの遺伝子の転写の活性化に関与することを見いだした。gel shift assayで調べた結果、各々の遺伝子の転写に関与すると思われるCANNTG配列にMITFが結合することがわかった。以上の結果から、MMCP-2,MMCP-9遺伝子はMITFが直接結合することによって、転写が活性化されていることが明らかとなった。現在はMMCP-2,MMCP-9遺伝子が存在するのと同じ染色体上にあるcathepsin Gの発現に関するMITFの関与についても検討している。
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