研究課題/領域番号 |
12670206
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
実験病理学
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
樋上 賀一 長崎大学, 医学部, 助教授 (90253640)
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研究分担者 |
下川 功 長崎大学, 医学部, 教授 (70187475)
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研究期間 (年度) |
2000 – 2001
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キーワード | 寿命延長 / 食餌カロリー制限 / トランスジェニックラット / GH / IGF-1 / Forkhead転写因子 / DNA array / 肝臓 / 脂質代謝 |
研究概要 |
[目的と方法]食餌カロリー制限(CR)は、げっ歯類等の個体の老化速度を抑制し、寿命を延長する再現性の高い方法であるが、そのメカニズムは未だ解明されていない。しかし、近年、CRの抗老化・寿命延長作用に、成長ホルモン/インシュリン様成長因子(GH/IGF-1)抑制およびそのシグナルの標的であるForkhead転写因子の重要性が示唆されている。本研究では、自由摂食させたGH抑制トランスジェニックミニラット(tg/tg)とwild(-/-)、そのF1ヘテロ(tg/-)、各々をCRしたラット、計6群の寿命とDNA array法を用いた肝臓の遺伝子発現プロフィール、さらに脂質代謝関連遺伝子発現を定量的RT-PCR法により比較し、個体の老化制御に主要な役割を担う遺伝子群を検封した。[結果と考察]1.6群の寿命解析より、強いGH/IGF-1抑制は、個体の生存に不利であるが、適度の抑制は抗老化・寿命延長に有利である。また、CRはtg/tg、tg/-、-/-ラットの寿命を著しく延長し、CRによる抗老化・寿命延長作用には、GH/IGF-1抑制依存性および非依存性メカニズムが存在する可能性が示唆された。2.cDNA array法において、GH/IGF-1抑制およびCRにより、多くのストレス応答、脂質代謝関連遺伝子の発現が、有意に変化していた。前者の多くは、IGF-1レベルと相関しており、一方、後者の多くはIGF-1レベルに非依存性であった。それゆえ、CRの抗老化・寿命延長作用のうち、前者はGH/IGF-1依存性、後者は、非依存性のメカニズムの主体であると推定された。3.GH/IGF-1抑制レベルの違いにかかわらず、CRラット肝臓では、食餌摂取後には、脂肪酸合成促進遺伝子群が、また空腹時は、多くのbeta-酸化関連遺伝子の発現が増強していた。血清の脂質関連パラメータと考え併せると、CRは、食餌摂取後では摂取されたエネルギーを蓄積し、空腹時では蓄積されたエネルギー源の利用を促進し、エネルギー源としての脂質の効率的な利用を促進すると考えられる。
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