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2000 年度 実績報告書

細胞膜結合型セリンプロテアーゼインヒビターによる上皮細胞増殖と遊走・浸潤能の制御

研究課題

研究課題/領域番号 12670209
研究機関宮崎医科大学

研究代表者

片岡 寛章  宮崎医科大学, 医学部, 助教授 (10214321)

キーワード膜型プロテアーゼインヒビター / 肝細胞増殖因子(HGF) / HGF activator / HAI-1 / amyloid β protein precursor / 大腸癌 / 腸粘膜
研究概要

細胞膜結合型セリンプロテアーゼインヒビターとして、これまでHGF activator inhibitor type 1(HAI-1)、HAI-2、amyloid β protein precursor(APP)が報告されている。いずれも、クニッツ型インヒビターである。これらのインヒビターによる上皮細胞増殖と遊走・浸潤能の制御に関する研究を行い、これまでに以下の成果を得た。
(1)大腸癌細胞における増殖因子活性化機構の解明:Cancer Res.,60:6148-6159(2000)
Hepatocyte growth factor(HGF)はその受容体(Met)を介して、上皮組織形態形成や再生において重要な役割を持つ多機能増殖因子である。癌の浸潤・転移においても大きな役割をもつ。HGFは非活性型として分泌されるため、活性型HGFに変換される必要がある。しかし、癌におけるHGF活性化機構は全く分っていなかった。
大腸癌細胞におけるHGF活性化機構を解明し、このHGF活性化に関わる酵素(HGF activator)と、そのインヒビター(HAI-1)の大腸癌組織における発現と進行度との相関についても報告した。
(2)HAI-1による細胞周囲HGF活性化制御機構の解明:J.Biol.Chem.,275:40453-40462(2000)
本研究ではHAI-1が実際に細胞膜上でHGF activator(HGFA)の特異的インヒビターとして機能することを証明した。更に、膜型HAI-1とHGFAの結合が可逆的で、PKC活性化に伴い両者の複合体は膜から切り出され、細胞周囲に強いHGFA活性が出現することを報告した。すなわち、HAI-1は過剰なHGFAを抑制すると同時にHGFAのリザーバーとしても機能し、細胞の状況に応じてHGFA活性を供給する可能性がある。
これらの結果は細胞膜結合型プロテアーゼインヒビターによる、概念的にも全く新しい細胞周囲プロテアーゼ活性調節機構の存在を示唆している。
(3)APPの大腸癌細胞増殖に対する影響:Int.J.Cancer,in press(2001)
APPの機能を解析するために、APP antisense mRNAを大腸癌細胞に強制発現させ、APP発現を抑制し、その大腸癌細胞増殖に対する影響を検討した。その結果、APP発現抑制により大腸癌細胞の増殖が有意に抑制され、APPが細胞増殖において重要な役割をもつことが明らかとなった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Kataoka H,Hamasuna R,Itoh H, et al.: "Activation of hepatocyte growth factor/scatter factor in colorectal carcinoma"Cancer Research. 60. 6148-6159 (2000)

  • [文献書誌] Kataoka H,Shimomura T,Kawaguchi T, et al.: "Hepatocyte growth factor activator inhibitor type 1 is a specific cell surface binding protein of hepatocyte growth factor activator(HGFA) and regulates HGFA activity in the pericellular microenvironment"Journal of Biological Chemistry. 275. 40453-40462 (2000)

  • [文献書誌] Kataoka H,Meng JY,Itoh H,Hamasuna R, et al: "Localization of hepatocyte growth factor activator inhibitor type 1 in Langhans'cells of human placenta"Histochemistry Cell Biology. 114. 469-475 (2000)

  • [文献書誌] Meng JY,Kataoka H,Itoh H,Koono M.: "Amyloid protein precursor is involved in the growth of colon carcinoma cell in vitro and in vivo"International Journal of Cancer. (in press). (2001)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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