研究概要 |
1)癌細胞の集団移動(Cohort migration, CM)における細胞関節着の部分的解離機構 細胞下部で局所的に生じる細胞接着の解離(この解離によって先導葉の伸展が可能となる)には、IQGAP1の細胞膜への移行とE-cadberin/catenin complexとの複合体形成と、複合体からのalpba-cateninの遊離が密接に関与していること、また、このメカニズムは、細胞聞接着の制御における、HGF/SFからのシグナルと細胞・ECM接着由来のシグナル間でのクロストークにも関与することが明らかとなった.また、IQGAP1の制御因子であるRac1によって、この細胞間接着とCMの抑制と促進が可能であることも示された.(詳細は12、13年度報告書を参照) 2)In vivoにおける細胞聞接着の部分的解離機構の発現 上記IQGAP1は、その特異的抗体の作成とそれを用いた免疫組織化学的検討により、大腸癌組織において正常組識よりも強く発現され、さらにその発現は浸潤先進部で最も強く、癌組織の表層1/3よりも深部2/3において有意に発現の増強が誕められた.IQGAP1のin vivoでの大腸癌浸潤への関与が考えられる. 3)membrance type 1 matrix metalloproteiase(MT1-MMP)発現の細胞間接着による制御 MT1-MMP cDNAに対するRNA probeを用いたin situ hybridization(ISH)によって、細胞間接着によるMT1-MMPの発現制御がmRNAレベルで行われており、その接着およびシグナルにはアクチンフィラメントの形成を必要としないことが明らかとなった.遊走細胞集団の先頭の細胞におけるMT1-MMP発現亢進には、産生されるフィプロネクチンによる刺激も関与すると考えられた.(詳細は13年度報告書を参照)
|