研究概要 |
1.ラット心筋梗塞モデルにおける細胞-細胞間,細胞-細胞外基質間コミュニケーションのリモデリング ラットの冠状動脈結紮による心筋梗塞モデルを用い,以下を明らかにした。 (1)梗塞部及び梗塞に面する心筋細胞において,ギャップ結合は,アドヘレンス結合,デスモソームに比べて早期より著しく減少する, (2)梗塞境界部付近では,ギャップ結合が心筋細胞のlateral面へ局在し,この異常な分布はアドヘレンス結合,デスモソームを伴っている, (3)梗塞境界部断端の心筋細胞において,同一細胞に由来する細胞突起間に,ギャップ結合,アドヘレンス結合,デスモソームが存在し,細胞内結合装置(reflexive junctional complex)を形成する, (4)梗塞境界部の残存心筋細胞先端では,β1-インテグリンの発現が次第に増加し,乳頭筋の筋腱索結合部に類似した構造に変化する。 2,心筋梗塞部への心筋細胞移植後の細胞-細胞間コミュニケーションの再形成 新生仔ラット心筋細胞を結紮10日後の心筋梗塞部位に移植したところ,donor-host間にギャップ結合,アドヘレンス結合,デスモソームの存在を証明できた。この結果はdonor-host間の細胞間結合装置の再形成によりdonor-host心筋細胞が機能的合胞体を形成することを示唆する。
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