研究課題/領域番号 |
12670218
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
渡辺 里仁 創価大学, 生命科学研究所・免疫科学部門, 教授 (30129746)
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研究分担者 |
中嶋 一行 創価大学, 生命科学研究所・免疫科学部門, 助教授 (50175494)
高瀬 明(余田) 創価大学, 生命科学研究所・免疫科学部門, 教授 (60236221)
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キーワード | レトロウイルス / ミクログリア / 神経病原性 / エコトロピック / レトロウイルスベクター / 組織培養 / 組換えウイルス / 海綿状脳症 |
研究概要 |
我々がフレンド白血病ウイルス(FLV)より分離したA8ウイルスは感染後3-4週で、ラット脳内で海綿状病変を形成しはじめ、感染後8-10週で病変の完成をみる。 昨年度は感染初期におけるミクログリアの動態を観測した。感染後3週において、小規模の穴あき部分周囲に活性化したミクログリアが認められていた。この時期にウイルス抗原が血管壁とともにミクログリアにも明らかになり始めた。また、この時期を境に我々が分離したウイルスレセプターのミクログリアにおける発現が減少し始めた。ラット新生仔由来のin vitroで初代培養したミクログリアの継代、凍結保存、細胞数の調整のための条件を検討した後、培養ミクログリアにA8-Vを感染させ、これをラット脳内に移植した。 結果は残念ながら、期待したものではなかった。即ち、感染したミクログリアを移植しても海綿状脳症の病変は増幅されず、むしろウイルスを直接脳内接種した場合より軽い病変しか引き起こすことができなかった。しかし、ミクログリアに感染しても放出されるウイルスタイターは極めて低く、産生されるウイルスタイターの量比でみると圧倒的に低いタイターで病変を引き起こした。しかしながら、感染ミクログリアを移植して病変の広がりが最大になる4-5週を過ぎると病変が減弱し、移植後8ヶ月を経過すると海綿状脳症が消失し、ウイルスも中枢神経から回収できなくなった。 ミクログリアでのウイルス増殖の制御と同時に、ウイルスの感染維持・増殖を抑える作用がミクログリアにあるか否かを確かめる必要がある。
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