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2000 年度 実績報告書

染色体転座によって形成されるキメラ蛋白の細胞死抑制と薬剤抵抗性への関与

研究課題

研究課題/領域番号 12670221
研究機関(財)応用生化学研究所

研究代表者

赤尾 幸博  (財)応用生化学研究所, 研究部長 (00222505)

キーワードMLL / 染色体転座 / 11q23 / キメラ蛋白 / 細胞増殖抑制 / アポトーシス / 亜ヒ酸
研究概要

染色体バンド11q23転座は造血器腫瘍の各種の白血病に観察され、とりわけ1歳以下の乳児白血病における染色体転座の主な切断点の一つである。11q23転座を持つ白血病は一般的に予後が悪いとされており、その病態の究明が急務である。これら11q23転座の責任遺伝子としてMLL遺伝子が単離された。我々は分子生物学的解析からMLL遺伝子が転座によって一定の領域で切断され、転座のパートナー遺伝子と融合しキメラ蛋白を作ることによりMLL蛋白の本来の機能がdominant negativeに不活化され、癌化に関わっていることを証明した(Oncogene 1994,Cancer Res.1998)。今回、生後10ヶ月の乳児の白血病細胞にみられたt(6:11)(q27;q23)を解析し、第6番側にAF6を同定し、本来のキメラMLL遺伝子であるMLL exon 6/AF6(染色体6q27)以外にMLL遺伝子のexon 5がスプライスアウトされたvariant MLL exon 5/AF6が存在することを認めた。このバリアントMLL exon 5/AF6は臨床経過から薬剤耐性と関連している可能性が示され、キメラMLL遺伝子のバリアントと薬剤耐性又は予後との間に関連のあることが示唆された(Genes Chromo & Cancer 2000)。近年、亜ヒ酸がレチノイン酸抵抗性の急性前骨髄球性白血病に著効を示すことが報告されているので、11q23転座を有するB細胞白血病細胞3株を低濃度の亜ヒ酸に暴露した。その結果、すべての細胞株で細胞で増殖抑制が観察され、アポトーシスが誘導された。アポトーシス誘導はMLLキメラ蛋白の減少と相関しており、MLLキメラ蛋白とアポトーシスとの関連が示唆された(Leukemia and Lymphoma 2000)。以上の結果からMLLキメラ蛋白が細胞増殖のみならず、細胞死、薬剤耐性にも関与していると考えられた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Akao,Y.,Nakagawa,Y.: "Arsenic-induced apoptosis in malignant cells in vitro."Leukemia and Lymphoma. 37. 53-63 (2000)

  • [文献書誌] Akao,Y.,Isobe,M.: "Molecular analysis of the rearranged genome and chimeric mRNAs caused by the t (6:11) (q27 ; q23) chromosome translocation involving MLL in an infant acute monocytic leukemia."Genes Chromosomes Cancer. 27. 412-417 (2000)

  • [文献書誌] Kitamura,K.,Minami,Y.,Yamamoto,K.,Akao,Y.,Kiyoi,H.,Naoe,T.: "Involvement of CD95-independent caspase 8 activation in arsenic trioxide-induced apoptosis."Leukemia. 14. 1743-1750 (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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