研究概要 |
ヒト以外の各種霊長類におけるTTウイルス(TTV)の感染実態を分子疫学的に検討した。その結果、TTV DNA(5'UTR)は、チンパンジー87/98(89%)、カニクイザル3/21(14%)、日本ザル1/89(1%)、アカゲザル2/127(1.6%)の血清中に検出された。さらに5'UTRにおける分子系統樹解析では、ヒトTTVとは明らかに異なる集簇を形成したためにsimian TTV(s-TTV)と仮に命名した。チンパンジー由来s-TTVから1株を選び、全長遺伝子の塩基配列を決定し、s-TTV CH65-1とした。CH65-1は、環状構造をとり、3899ntの塩基と三つのORF(ORF1:765aa,ORF2:134aa,ORF3:111aa)から構成されていた。また、114ntからなるGC-rich領域が3'UTR終末部に存在した。全塩基レベルでヒトTTVと比べると、48-54%と低い相同性を示した。以上の成績から、サル類に特有に感染しているTTVが存在することが確認できた。
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