1)SMP30遺伝子破壊マウスにおいては、加齢に伴い多くの臓器障害が出現する。(1)肝臓における脂肪滴の著明な沈着、ミトコンドリア変性、ライソソームの増大に加えて各種アポトーシスに対する感受性が亢進した。(2)腎臓においては糸球体上皮細胞の融合と尿細管上皮におけるリポフスチンの増加が著明であった。(3)顎下腺では分泌能の低下が形態学的に証明された。 2)カロリー制限食により腎病変が改善され臓器のSMP30量が増加した。この事実はSMP30が加齢指標として用いることが示唆するものである。 3)SMP30の細胞内局在が細胞質に加えて核にもあることを見いだした。その病理学的意義を解析中である。 4)SMP30はカルシウム結合蛋白質ではないことを確認した。また有機リン化合物分解能にもカルシウムの要求性が無いことを証明した。 5)SMP30の本来の酵素作用は酸性フォスファターゼであることを証明した。現在、ライソソームにおける局在を解析しており、局在が認められれば加齢に伴いSMP30が減少し分解系が障害されることにより老化病態が亢進するという仮説を提唱することが可能となる。
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