研究概要 |
1)マンソン裂頭条虫擬充尾虫が産生する成長ホルモン様因子である27kDa蛋白のリコンビナント蛋白を作成するために、そのcDNAをpTARGE TTM Mammalian Expression Vector Systemを用いて3Y1 Fibroblast cellにtransfectionし、fibroblast cell培養上清中の成長因子の検索を試みた。しかし、現在までにその検出には成功していない。 2)成長ホルモン様因子は、トリプシンの抑制活性を認めたので、その抑制機序について検討した。トリプシンの活性部位に結合することによるものか、またトリプシンを分解することによって抑制するのかを検討したが、現在までに結論を得ていない。 3)擬充尾虫は宿主のTNF-α、iNOSなどサイトカインを抑制することが認められたので、その抑制機序について検討した。擬充尾虫の培養上清(ES物質)のLPS活性化マクロファージTNF-αの抑制をnorthan blot分析により、TNF-αmRNAの発現抑制に起因する抑制であった。その抑制はマクロファージの内因性抑制因子であるprostaglangin E2,SLPIやIL-10によるものではなく、また、LPS活性化の転写調節因子であるNF-κBも関与していないことがgel sift assayにて判明した。そこで、mitogen-activated protein kinase(MAPK)の関与が推測されたのでERK1/2またはp38の阻害剤とES物質を用いて検討したところ、ES物質のTNF-α遺伝子の発現抑制にはMAPKが関与していることが示唆された。
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