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2001 年度 実績報告書

ネズミ糞線虫のラット体内移行を決定する化学物質と虫体アンフィッドの役割

研究課題

研究課題/領域番号 12670233
研究機関九州大学

研究代表者

古賀 正崇  九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (80136449)

キーワードStrongyloides ratti / Chemoattraction / In vivo行動 / 幼虫移行阻害 / レクチン / ラット鼻腔内侵入 / モルモット / オートラヂオグラフィ
研究概要

平成12年度に引き続きIn vitroアッセイ系で幼虫の行動阻害が認められたHyaluronidase, ConA, Trypsin, Protease, Lipase, NaIO_4を用いてIn vivoでの実験を行った。まず^<35>S methionineで幼虫をラベルし、上記薬物処理を行った虫体をラットに感染、10,15,20,25時間後にラットを殺処分、凍結、CMC包埋を行って、全身切片とした。その結果、幼虫の移動速度はコントロール群に比して有意差を認めなかった。In vivoにおいてナトリウムイオンに対し幼虫の行動阻害を引き起こす各種酵素、レクチン、化学物質等のは全くIn vivoでは効果が見られず、幼虫の宿主体内移行は他の何らかの感知因子により行動している事が推察された。
次に従来の全身autoradiographyの実験からラット皮下に感染した幼虫はラットの脳に向かう前にラットの鼻部を目指して行動している事が推察された。よってラベル幼虫をラットの頭部皮下に投与してその動向を検討した。コントロールは下腹部皮下に投与した。投与後10,15,20時間後に全身オートラヂオグラフィ法を用いて検索した。その結果ラット頭部に感染させた群は鼻部に到達する時間が早かった。これは単に頭部から鼻部への距離が短いと言う理由からだけではなく感染させた幼虫すべてが鼻部に向かって進んでいた。一方コントロール群はラットの体前部に進むもの、内臓部に向かうもの、体後部に向かうものが認められ方向性に乱れが見られた。しかし感染20時間後ではコントロール群と比較して差を認めなかった。この結果からネズミ糞線虫は本来ラットの鼻部を感知する能力(アンテナ)が存在することが示唆された。
よって非固有宿主のモルモットに同様に頭部に感染させ、感染15、20時間後の幼虫の動向を検索した。その結果幼虫は感染20時間目に一部鼻部先端に移行するものも見られたが、大部分の幼虫は鼻腔内、頭蓋内には侵入しなかった。この事は非固有宿主物質にIn vitroでは誘引されてもIn vivoでは誘引されない(幼虫が行動を起こさない)厳しい宿主特異性の存在が判明した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Watanabe, K., Noda, K., Hamano, S., Koga, M., Kishihara, K., Tada, I: "The role of granulocytes in the early host defense against Strongyloides ratti in mice"Parasitology Research. 86(3). 188-193 (2000)

  • [文献書誌] Kudo, HT., Higo, H., Koga, M., Tada, I: "Chemokinetic behavior of the infective third-stage larvae of Strongyloides ratti on a sodium chloride gradient"Parasitology International. 49(3). 183-188 (2000)

  • [文献書誌] Kudo, HT., Higo, H., Koga, M., Tada, I: "Effect of various treatments on the chemokinetic behavior of third-stage larvae of Strongyloides ratti on a sodium chloride gradient"Parasitology Research. 86(6). 865-869 (2000)

  • [文献書誌] Kudo, HT., Shimada, M., Koga, M., Tada, I: "Strongyloides ratti : Thermokinetic behavior of thidr-stage larvae on a temperature gradient"Experimental Parasitology. 95(3). 196-201 (2000)

  • [文献書誌] Koga, M., Tada, I: "Strongyloides ratti : Chemotactic responses of tird-stage larvae to selected serum protein and albumins"Journal of Helminthology. 74(3). 247-252 (2000)

  • [文献書誌] Satou, T., Koga, K., Koike, K., Tada, I., Nikaido, T: "Nematocidal activities of thiabendazole and ivermectin against Strongyloides ratti and S. venezuelensis"Veterinary Parasitology. 99(4). 311-322 (2001)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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