1.Plasmodlum berghei XAT感染後、さらに感染赤血球で免疫したマウスの脾細胞を用いて、原虫抗原特異的モノクローナル抗体を産生する7種のハイブリドーマを作製した。 2.P.berghei XATの感染初期にこれらのモノクローナル抗体(腹水型)を投与し、原虫血症の観察を行ってその防御効果を調べた結果、その中の2種(B1D6抗体、H6G11抗体)に感染防御効果が認められ、特にB1D6抗体で効果が強かった。 3.防御効果が認められなかったモノクローナル抗体のサブクラスがすべてIgMであったのに対し、防御能を有した2種のモノクローナル抗体のサブクラスは、いずれもIgG1であった。 4.これら2種の防御モノクローナル抗体は、どちらもELISA法においてP.berghei XAT抗原には強く反応したが、P.berghei NK65抗原に対しては反応性が弱かった。 5.B1D6抗体の標的抗原の分子量を調べるためwestern blotting法を行った結果、B1D6抗体は推定分子量150kDと160kDに位置するバンドと強く反応した。さらに、もう一方のIgG1防御抗体であるH6G11抗体もまた、同じ推定分子量のバンドを認識した。 6.防御能を有するB1D6抗体が認識する標的抗原の原虫発育段階特異性を明らかにするため間接蛍光抗体法を行った結果、schizontsに強い蛍光が認められ、遊離merozoitesやtrophozoitesには蛍光が認められなかった。 7.B1D6抗体が認識する標的抗原の細胞内局在を免疫電子顕微鏡法で調べた結果、標的抗原はP.berghei XAT感染赤血球内のparasitophorous vacuoleやcleft内に局在していた。また、感染赤血球膜には標的抗原の存在は認められなかった。
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