1.咋年度に引き続き、Plasmodium berghei XAT感染に対して強い防御効果を示す2種の原虫抗原特異的モノクローナル抗体(B1D6抗体、H6G11抗体;いずれもIgG1)を用いて、これら抗体とその標的抗原であるマラリア防御抗原の性状と特異性について検討した。 2.これら2種の防御モノクローナル抗体は、どちらもELISA法においてP.berghei XAT抗原には強く反応したが、P.berghei NK65抗原に対しては反応性が弱かった。そこでP.berghei NK65マラリアに対する防御効果を調べると、コントロールに比して感染初期の原虫血症が抑制され、さらに延命効果が認められた。 3.P.berghei XATの他、P.berghei NK65、P.yoelii、P.chabaudiなどの原虫塗布スライドを作製し、蛍光抗体法により、標的抗原の種特異性・発育段階特異性を調べると、P.berghei NK65に対してはP.berghei XATと同様の強い蛍光を示し、特にシゾント内部が強く反応した。P.yoelii、P.chabaudに対しては、擬陽性との区別が困難でさらに検討を進めている。 4.P.berghei NK65に存在するB1D6抗体の標的抗原の分子量を調べるためwestern blotting法を行った結果、B1D6抗体は推定分子量150kDと160kDに位置するバンドと強く反応した。これらのバンドの易動度はP.berghei XATの標的抗原と一致した。 5.B1D6抗体を精製後カラムに結合させ、このアフィニティーカラムを用いて抗原を精製した。Western blot法により、この精製抗原標品中に上記の150kDと160kDタンパクが含まれることを確認した。今後この精製抗原を酵素処理し、得られた部分標品について内部アミノ酸配列の解析を行う予定である。
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