研究概要 |
WHOにより推進されているリンパ系フィラリア症のelimination計画に不可欠な流行地の発見、対策の効果判定のための、尿を用いた診断法の確立・標準化が本研究の第一の目的である。 1、バンクロフト糸状虫症診断のための尿ELISA法の基礎的研究 高感度(96%)で高い特異性(99%)をもった尿ELISA法を開発することができた。 2、この尿ELISA法の、流行地の発見のための大規模調査への適用(スリランカ・ネパール) リンパ系フィラリア症のelimination計画に不可欠な治療対象となる流行地を発見するための大規模な疫学調査にこの尿ELISAを使う場合を想定し、流行状況が不明なスリランカ(スリランカのマタラ地区内の14の地域)およびネパール(Judigaun村)で疫学調査を行ったところ、尿ELISA法が新たな流行地の発見に有用な方法であることが確認できた。 3、尿ELISA法の、フィラリア症対策評価のための大規模調査への適用(中国・浙江省) リンパ系フィラリア症のelimination計画に不可欠な対策評価のための大規模な疫学調査にこの尿ELISAを使う場合を想定し、10年前にフィラリア症対策が完了した中国浙江省永嘉県において、約2,800の尿検体を検査し、尿ELISA法がフィラリア症対策の評価にも有用であることが確認できた。 4、マレー糸状虫調査への応用(韓国) 韓国のマレー糸状虫症旧流行地の住民の尿を用い、本尿ELISA法がマレー糸状虫症の診断に有効であることを強く示唆する結果を得た。 5、他の寄生虫症診断への尿ELISAの応用 日本住血吸虫症、内臓リーシュマニア症の診断のための、尿ELISA法を開発することができた。
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